ここには、 http://www.linux.or.jp/bookreview/ に掲載されている

第 21 回 ブックレビュー 『PC-UNIX 日本語環境+アプリケーション 徹底入門』
の、塚本担当部分に収め切れなかった、 「おまかせパック」のインストールと検証に関するメモがあります。


【インストールと検証(実際に使うには)】

99/10/06


◎検証に使用した環境

自宅のデスクトップマシンのEIDE0の スレーブに、 新しい EIDE 2.1G のハードディスクを入れ、 RedHat Linux 6.0 英語版(Linux Japan 1999年 7月号 付録)を 本書の指定パッケージを選択してインストールした。

・RedHat Linux 6.0 のインストーラより自動的に起動される Xconfiguratorで X Window System の設定を行ない、 X が起動する事を確認した。

・その後、カーネルを Ver. 2.2.12 にアップデートして再構築した。

・テスト印刷に使用したプリンタはキャノン bjc-35vII。

・ネットワーク環境は自宅のアナログ電話回線によるプロバイダとのppp接続である。


● 一般ユーザのgroup名はどうするか

「おまかせパック」をインストールした後、 omakase コマンドで一般ユーザを登録する際、 入力項目に一般ユーザの group名がある。 groupの意味がわからない人の為に付録に説明がある旨の案内があるが、 付録のroot、user、groupについての記述では、 結局 group 名をどう決めたら良いのか指針は示されていない。 私は、SlackWare のデフォルトの users を入力した。

● SMTPサーバ、POP サーバ等メイル環境の指定

ユーザーのネットワーク環境に応じて選択する3通りの候補
 (1)localhost をメイルサーバにして送受信
 (2)POPサーバはプロバイダ、(SMTPサーバはlocal host)
 (3)POPサーバ、SMTPサーバともにプロバイダ
が示されているが、 ユーザのネットワーク環境についての分類が不明確で選択を誤りやすい。 本文にある「最も多いのは(2)」という示唆には疑問が残る。 私は(3) を選択した。

● X 環境の KeyMap

RedHat Linux 6.0 のインストーラは、コンソールモードでは jp106 日本語キー ボードを選択できる。 一方 X の環境設定ツールXconfigurator では、jp106 は選択できない。 omakase コマンドでシステムをインストールしても、 X 環境では jp106 に設定されていなかった。 しかたがないので、私は後で/etc/X11/XF86Config をエディタで編集し Section "Keyboard" の項に以下の行を書いた。


   XkbModel        "jp106"

   XkbLayout       "jp"

● Networkの設定

omakaseコマンドを実行する前提は、 「OS の指定パッケージをインストールした直後の状態」となっている。 しかし、RedHatLinux 6.0 のインストーラに ppp の設定メニューが出てこないので、 ppp 接続の環境では、後で自分で ネットワークや ppp の設定をする必要があった。 RedHat Linux 6.0 標準で root に設定されているデスクトップの Control Panel で設定できるが、 私は古風に、/etc/host.conf や /etc/resolv.conf をエディタで設定し、 /usr/doc/ppp-2.3.7/ppp-on、ppp-on-dialer、ppp-off を /usr/local/bin/ にコピーして、プロバイダやアカウント情報をエディタで書き込み、 実行許可を与えた。

● プリンタの設定

書籍の第5章には、 自分のプリンタに応じて(エディタで)プリンターの設定ファイル (/etc/printcap )やフィルタの作成する方法が書いてある。 一般の書籍ならば、これはまっとうな事だが、 本書の場合はこの事自体が、 「おまかせパック」として「約束違反」だと私は思う。 それはさておき、 実際問題としては、プリンタの設定について、まず、 フィルタの設定例に書かれている ghostscript(gs) のパスが誤っている。 /usr/local/bin/gs ではなくて /usr/bin/gs が正しい。 また、フィルタの例に書かれている ghostscript のドライバの オプションが誤っていて、 パスを直しても動作せず、修正を要した (私の使用している bjc600 の設定例では - dBitsPerPixel=4 となっているが、 サポートされているのは 1,8,16,24,32で、デフォルトは24である)。 しかし、次の printtool を使えば、この様な作業は(実は)必要無い。

● printtoolについて

GUI 環境でプリンタの設定やテストプリントができるツールだが、 書籍のどこにも説明がなく、 書籍からは存在すらわからない。 私は、デフォルトの /etc/printcap を眺めていて、 その存在に気づいた。 このツールを使えば、 /etc/printcap が作られ、フィルタも生成される。 printtool で ghostscript を 用いた印刷の設定をした際、 私の場合、ドライバは bjc600 を選びプリンタ名は、「lp|lps|ps」 とした。

● xemacsの清書印刷

日本語のテキストファイルの「清書印刷」は、 書籍には美しく日本語が印刷された例が載っているにもかかわらず、 実際は文字化けして、正常に印刷できない。

● LaTeX の印刷環境

○xdvi

xdvi のプリントメニューからプリントしようとしても何も印刷されないか、 ファイルによってはパイプ破壊がおこり落ちる(本書サポートページのバージョ ンアップ版も同様)。

○dvipsの設定

書籍に書かれている例に従って、 dvips af.dvi > af.ps とタイプしても、Postscript(ps) ファイルは作られないで、 直接プリンタに出力される。 このシステムの dvips の設定の場合、 正しくは、 dvips af.dvi -o af.ps である。

また、この dvips で dvi ファイルを印刷すると、 トップマージンがおかしい。 printtool のテスト印刷では正常に印刷されるので、 ghostscript のドライバ自身は正常である。 結局、 /usr/share/texmf/dvips/config.ps に O 1pt,-51pt と書いて、 dvips のオフセットの設定をする必要があった。