自家製パンチェッタ - *自家製パンチェッタ製造記録 その1(第一弾、第二弾)

目次

自家製パンチェッタ製造記録 その1(第一弾、第二弾)

2006/11/25

 常々、自家製のパンチェッタ(燻製しない生ベーコンのようなもの)を作ってみたいと思っていた。季節も寒くなってきたのでやってみることにする。パンチェッタは色々な作り方があるみたいだけれど大雑把に書くと、

1)豚の三枚肉に胡椒と塩をすり込んで1週間程度おく

2)一度真水につけて塩抜き

3)干して水分を飛ばし熟成させる

という感じ。今は3)の干して熟成の部分を「ピチット」という脱水シートで脱水しながら熟成させるのがお手軽らしい。ピチットはインターネットの通販で入手できる(http://www.pichit.info/)。

   

  • 豚肉は三枚肉の大きなブロックが欲しいところだけれど、冷蔵庫のスペースのことや、初めてでもあり色々試したいこともあるので1個300g強のパックを3つ買ってきて、フリーザーバッグの大きさに合わせて半分にカットした。

  • 肉からしみでるドリップを排出する工夫をする。肉からしみ出てくるドリップを排出するため、フリーザーバッグの下の片方の隅を切って、ペットボトルで作ったドリップ受けに傾けて置く。さらにペットボトルの口の方を下になるようにしてボトルごと傾けると、ドリップがうまい具合に口の近くに溜まるようだ。

  • 冷蔵庫で冷やしすぎるとドリップが出にくいので、この季節なら最初の2〜3日はむしろ室温で保存した方が良いかもしれない。

詳細

  • 豚三枚肉
ABC
重量320g321g331g
袋重量7g7g7g
黒胡椒5g5g5g
岩塩38g39g37g
合計370g372g380g

  • ドリップ排出3回

2006/11/26

  • ドリップ排出 5回
  • 岩塩追加 各15g

2006/11/27

  • ドリップ排出 5回
  • 岩塩追加 各10g

2006/11/28

  • ドリップ排出 2回
  • RONRICO151:パンチェッタ作りで消毒用アルコールを使うのも面白くないので、大昔に飲んだことのあるRONRICO151(アルコール75.5%)を買う。これは消毒用アルコールと同じ度数のラム酒。
  • ポーランドのウォッカでアルコール96%なんてのもあるが、消毒効果はアルコールが75〜80%が良いらしい。まぁラムなら色々使いみちがあるだろう。

  • ドリップが出るのが治まったので、計量してからフリーザーバッグを交換、岩塩追加し冷蔵庫へ入れる。それぞれ約60g重量が減少。
ABC
2006/11/25重量320g321g331g
袋重量7g7g7g
黒胡椒5g5g5g
岩塩38g39g37g
合計370g372g380g
2006/11/26岩塩追加+15g+15g+15g
2006/11/27岩塩追加+10g+10g+10g
2006/11/28395g397g405g
2006/11/28計量330g329g344g
2006/11/28差し引き-65g-68g-61g
2006/11/28岩塩追加+4g+4g+4g

  • ピチット大x1、小x2 が到着。

2006年12月2日

塩抜き、消毒、乾燥→熟成

   

一週間塩漬けにした豚肉の塩を落とし(写真左)、軽く水洗いして(写真中央)計量。 ごく薄い塩水に漬けて塩抜き。かなり塩がしみ込んでいるみたいだ。

ABC
2006/11/25最初の重量320g321g331g
2006/12/02水洗前重量327g320g340g
水洗後重量297g295g310g

  • 三時間塩抜きした豚肉をRONRIKO151で洗って「消毒」し、ペーパータオルで水分をふき取り、ピチット(脱水シート)で包んで乾燥・熟成工程へ。そのうち、一本くらい軒先に吊るして乾燥させてみようかとも思っているが、今回は無難に…。
  • 今回は塩抜きに少し時間をかけすぎたかもしれない。

   

新しいバラブロック約1kgで第二弾も仕込み中。

DE
2006/12/02重量423g534g
希釈塩3g3g
黒胡椒5g5g
岩塩35g45g
合計466g587g
天日塩+15g+15g

  • ジップロックに入れて冷蔵庫の野菜室に保管。

2006/12/05

ABC
2006/11/25最初の重量320g321g331g
2006/12/02水洗前重量327g320g340g
水洗後重量297g295g310g
塩抜後重量295g295g309g
2006/12/03ピチット交換281g282g296g
2006/12/05ピチット交換274g279g289g

2006/12/08

試食

   

  • 一週間の塩漬の後、塩抜き三時間、一週間乾燥中のものの一つ(Bの片方)を取り出してちょっとだけ試食。生で食べると少し塩が薄いかと思ったけれど、フライパンで焼いてみると結構塩辛い。でも、香ばしくてうまい。意外と脂身にも塩がしみているような気がする。 まだ実質的には塩豚という感じだと思うが、これから熟成が進むともっと旨みが増すはずなので期待。

  • いままでは全部の肉をピチットで包んでいたけれど、今日取り出したBの肉はラム酒を振ったあと冷蔵庫で自然乾燥させて、ピチットのグループ(A,C)とどんな違いがでるか比べてみることにする。

ABC
2006/11/25最初の重量320g321g331g
2006/12/02水洗前重量327g320g340g
水洗後重量297g295g310g
塩抜後重量295g295g309g
2006/12/03ピチット交換281g282g296g
2006/12/05ピチット交換274g279g289g
2006/12/08試食前160g+111g
試食後132g+111g
 

2006/12/09

試食続き

   

  • 昨日試食した「未来のパンチェッタ」がこんな姿に(160g→132g→36g)。朝食のスープとピッツァに使われていた。
  • 昨日試食したやつは最初に仕込んだうちの 1/6 なのであと5切れある。。

A,C:ピチット交換

  • AとCはピチット交換。
  • Bはクッキングペーパーに包む。
ABC
2006/11/25最初の重量320g321g331g
2006/12/02水洗前重量327g320g340g
水洗後重量297g295g310g
塩抜後重量295g295g309g
2006/12/03ピチット交換281g282g296g
2006/12/05ピチット交換274g279g289g
2006/12/08試食前160g+111g=271g
試食後132g+111g=143g
2006/12/09朝食使用36g+111g=147g
AとCピチット交換145g+123g=268g36g+111g=147g116+167g=283g

第二弾 塩抜き、乾燥、熟成へ

 

  • 先週仕込んだ約1kg(423g+534g)のブロックを4時間塩抜。
  • こちらの方がデキがよさそうな気がする。

 

  • 塩抜後Ronrico151をスプレーしてからペーパータオルでふき取り、ピチットをして冷蔵庫に保存。

DE
2006/12/02重量423g534g
希釈塩3g3g
黒胡椒5g5g
岩塩35g45g
合計466g587g
天日塩追加+15g+15g
2006/12/09水洗前408g522g
水洗後402g516g
4時間塩抜406g523g

2006/12/10

自然乾燥用ネット作成

  • パンチェッタを冷蔵庫の中で乾燥させると、どうしても冷蔵庫の中の臭いがついてしまうような気がする。そこで、百均でみつけた手ごろなサイズの洗濯ネットと、園芸用の針金(朝顔用の枠をばらした)で、パンチェッタの風乾用の覆いを作ってみた。
  • クッキングシート作った埃避けの傘をかけ、Bの111gのブロックをタコ糸で括って吊るしてみる。

D,E ピチット交換

DE
2006/12/02最初の重量423g534g
2006/12/094時間塩抜406g523g
2006/12/10ピチット交換386gg500g

2006/12/12

Aのブロックも風乾へ

2006/12/21

   

Bの試食残骸が29gになり塩を吹いてきたので、スライスして、カルボナーラを作る。

2006/12/22 CDEピチット交換

2006/12/23 DEを風乾へ

ピチットvs風乾の比較考察

11月25日に仕込んだ第一弾は
  • 塩漬け一週間
  • 3時間塩抜き
  • RONRICO151で洗う
  • ピチット(脱水シート)で一週間脱水
  • ピチット継続vs風乾の比較のためグループを二つに分ける

というやり方で乾燥・熟成過程に入っていた。

今日で仕込んでから4週間たったので、風乾組とピチット組との比較をしてみた。

写真の上が風乾、下がピチットで脱水したもの。見た目や計量、触った感じでわかることは、

  1. 重量の減少率は、風乾が 29%、ピチットが 21%。
  2. 写真をクリックして拡大表示するとわかるように、風乾は表面が干からびているが、ピチットでは表面が湿っているというかヌラヌラと光っている。
  3. 風乾は表面が硬化しているがピチットの方は全体に均質な弾力がある。

ピチットは半透膜の中に閉じ込めてある水飴との浸透圧を利用して脱水するため、穏やかに、表面が濡れた状態で(平衡状態にちかい環境で)徐々に脱水される。このため、肉の中の水分の移動も脱水速度に追随していて、肉全体が均質に脱水されている。

一方、風乾では、減量率からもわかるように肉の表面から早い速度で水分が蒸発するために、肉の表面は干からびて硬化する。

例えていうと、皮膚がはがれてしまうような大きな傷に人工皮膚のような保護シートを張った状態と生傷をそのまま晒している状態の違いみたいなものだ。

  • 【安全性】
  • 表面の状態のこの違いは、食品の安全面で違いがあるかもしれない。ピチットで脱水の場合は、表面が濡れている状態かつ、シートそのものが酸素をそれほど透過させるとは思えないので、好塩・嫌酸素菌が繁殖すると怖いかもしれない。風乾の場合、表面は菌が繁殖するには乾燥しすぎている上に空気に晒されているので嫌酸素菌の繁殖の心配も少ないだろう。干からびた表面が保護層の役割を果たすかもしれない。しかし脂肪の酸化はある程度覚悟しないといけないだろう。
  • 【食感】
  • で、食べて見た感じ(パンチェッタは食いものなんだからこれが大事)は、
    • ピチットの方は、生で食べると生ハムのような感じ、火を通すとまだ塩豚のような味わいだった。
    • 風乾の方は、包丁の刃に脂肪が付着すると刃がすべるくらい表面が硬くなっていて、生で食べると表面と内部では明らかに旨みの濃さに差がある。火を通すと表面の硬い部分の香ばしさが際立ってくる。
    • 食品としては、(風乾の)この不均一さが味わいを増しているように思う。

2006/12/27 C:冷蔵庫内自然乾燥へ

  • Cは12/22にピチット交換したときに計量した重量から殆ど変化が無いので、ピチットの内部の水あめとの浸透圧に差が無くなったと考えられる。
  • ピチットによる脱水を終了し、冷蔵庫内での自然乾燥に切り替える。
  • ラム酒をスプレーした後、キッチンタオルペーパーで包み、その外側をクッキングシートで包んで冷蔵庫で保管。

2007/01/08 重量変化

仕込んだ「未来のパンチェッタ」の重量変化のグラフを書いてみた。

  • ピチットだけで乾燥させようとしたもの(C:緑)は最初の重量の80%になったところで変化が無くなった。その状態で表面が湿ったままなのがイヤなので、冷蔵庫の中で自然乾燥。
  • 一番早くピチットを使うのを止めたもの(A:赤)は、どんどん重量が減少し、75%程度になったところで、表面に白と肌色のような粉を吹いてきた。このまま重量が減り続けるとカチカチになって熟成しないかもしれない。
  • 後発組のD:青,E:紫は、肉と脂身の割合がかなり違うので変化もかなり違って見える。いずれも75%前後になってきたので、もうそろそろ風乾を止めて一定の水分で熟成させた方が良いのかもしれない。

2007/01/20 点検

 

「未来のパンチェッタ」の現状。

  • 11月25日仕込みのものは白い粉と肌色の粉が吹き出ていて重量変化はもう殆どない(写真左)。試食と脱水で仕込み重量972g(元々は6本あった)が487gになった。タコ糸が付いているものが風乾、付いていないものはクッキングシートに包んで冷蔵庫で乾燥。
  • 12月2日仕込みのものも白い粉が吹きでてきた上に肉の部分一部に肌色のものが出てきた(写真中)。脱水で仕込み重量957gが680gになった。
  • バラ肉の場合、風乾、冷蔵庫内での乾燥ともに仕込み重量の70%程度になると重量変化は殆どなくなるようだ。それに対してモモ肉は脂肪が少ないので仕込みの半分くらいまで減るらしい。

※現在の総重量1167g。減ったなぁ。

2007/02/09

朝から気温が高いにの加えて雨が降り湿度が高いので風乾中止し、A,Cに加えてD,Eも冷蔵庫へ入れる。

2007/02/17 A-1 消費中&ラム酒で湿らせる

消費中のA-1はかなり干からびて、表面に肌色の繊維状の部分が出来ているので、ジップロックに入れてRONRICO151を少量入れて湿らせることにする。ついでに、繊維状になった表面を削る。

2007/02/19 良い感じに戻ってくる

RONRICO151で湿らせたらよい感じに戻ってきた。

2007/03/10 A 消費終了

Aは消費終了。第一弾はCの半分を残すのみ。

最近やっと豚臭さがなくなってきて旨みが強くなってきた。

2007/03/24 第一弾 消費終了

これで11月25日に仕込んだ第一弾はすべて消費。

記録(第一弾、第二弾)

ABCDE
2006/11/25ABC最初の重量320g189g+132g=321g331g
ABC塩抜295g (91%)295g (92%)309g (93%)
2006/12/02DE最初の重量423g534g
2006/12/03ABCピチット交換281g (88%)282g (88%)296g (89%)
2006/12/05ABCピチット交換274g (86%)279g (87%)289g (87%)
2006/12/08B試食前160g+111g=271g
試食後132g+111g=143g
2006/12/09B朝食使用36g+111g=147g
ACピチット交換145g+123g=268g (84%)36g+111g=147g116+167g=283g (85%)
DE塩抜き406g (96%)523g (98%)
2006/12/10Bの一部を風乾へ、DEピチット交換386g (91%)500g (94%)
2006/12/11B計量35g+108g=143g
2006/12/12A風乾(計量)140g+121g=261g (82%)35g+106g=141g
2006/12/13CDEピチット交換112g+164g=276g (83%)374g (88%)485g (91%)
2006/12/15AB計量137g+119g=256g (80%)33g+105g=138g
2006/12/16CDEピチット交換&計量135g+117g=252g (79%)31g+105g=136g110g+160g=270g (82%)365g (86%)476g (89%)
2006/12/21B試食の残りでカルボナーラ99g
2006/12/22CDEピチット交換&計量123g+106g=229g (71%)98g105g+157g=262g (79%)350g (83%)462g (87%)
2006/12/23DE風乾へ
2006/12/26計量120g+106g=226g (71%)98g337g (80%)442g (83%)
2006/12/27計量120g+106g=226g (71%)98g (74%)104g+157g=261g (79%)329g (78%)432g (81%)
C冷蔵庫内自然乾燥へ
2007/01/03計量117g+104g=221g (69%)94g (71%)94g+148g=242g (73%)312g (74%)410g (77%)
2007/01/06Bの残り試食
2007/01/08計量115g+104g=219g (68%)[65g]90g+143g=233g (70%)305g (72%)402g (75%)
2007/01/12計量115g+103g=218g (68%)[65g]89g+143g=232g (70%)299g (71%)396g (74%)
2007/01/17計量115g+103g=217g (68%)[44g]89g+143g=232g (70%)298g (70%)394g (74%)
2007/01/20計量112g+101g=213g (67%)[44g]88g+142g=232g (69%)292g (69%)388g (73%)
2007/01/27Aを冷蔵庫内自然乾燥へ
2007/01/30計量109g+97g=206g (64%)[28g]84g+138g=222g (67%)284g (67%)379g (71%)
2007/02/03計量109g+97g=206g (64%)[消費終了]84g+138g=222g (67%)283g (67%)378g (71%)
2007/02/04C-1を消費109g+97g=206g (64%)[消費終了][α]+138g283g (67%)378g (71%)
2007/02/08計量107g+96g=203g (63%)[消費終了][α]+137g282g (67%)375g (70%)
2007/02/09風乾中止:冷蔵庫へ
2007/02/10計量107g+96g=203g (63%)[消費終了][α]+137g281g (66%)374g (70%)
2007/02/16計量107g+96g=203g (63%)[消費終了]136g279g (66%)372g (70%)
2007/02/17A-1消費開始[消費中]+96g[消費終了]
2007/02/24A-1消費終了A-2消費開始[消費中]
2007/02/25計量[消費中][消費終了]135g278g (66%)369g (69%)
2007/03/10[消費終了][消費終了]
2007/03/17[消費終了][消費終了][消費中]
2007/03/25[消費終了][消費終了][消費終了]274g (65%)363g (68%)